
入社1年目で自分のアイデアを商品化!? 「新人提案品」
アスザックフーズでは、新人研修の一環として毎年新入社員を対象に、新たなフリーズドライ商品の開発に取り組む「新人提案品」企画を実施しています。今回は、新人提案から実際に商品化を果たした2人に当時を振り返っていただきました。
私がこの商品を企画しました!

T.S./営業部 企画開発チーム リーダー
2020年4月にキャリア入社。 現在は牛乳でつくる飲むデザートシリーズとかむこんブランドマネージャーとして活躍中。
≪かつおだし香る梅干しスープ≫ 日頃から体調が気になる40代主婦をメインターゲットに開発。 梅干しまるごと1個を使い、日本古来の調味料「煎り酒」を思わせる上品な味わいに仕上げた。

I.A./営業部 東京営業 リーダー
フリーズドライの可能性に魅かれ、2019年4月に新卒入社。
≪デミグラスハンバーグ≫ アウトドア好きな人をターゲットに開発。 一般的にフリーズドライでは不向きとされる肉類にあえてチャレンジ。 商品化の際に開発された自立する包装容器は特許取得済み。
先入観にとらわれない、若手ならではの自由な発想を求めて
そもそも、お二人のアスザックフーズへの入社のきっかけは?

家庭の事情で引っ越したのがきっかけです。 現在担当している「ザク切りいちご」という商品のCMを見て、アスザックフーズの社名が記憶に残っていました。 また、以前勤めていた食品会社の原料供給先でもあったので、安心感がありました。

私は、大学院で生物系の研究をしており、食品系の会社でこれまでの学びや経験を生かせる研究職や開発職に就きたいと思っていました。アスザックフーズを選んだ理由は、原料に縛りがないこと。フリーズドライ技術を軸にさまざまな原料を組み合わせて商品に応用できるため、壮大な開発に取り組めると感じました。
「新人提案品」は新人の登竜門的な位置づけなのでしょうか?

そうですね。入社まもないタイミングで研修がスタートし、約3カ月かけて行います。 その研修の一環として、ターゲット設定やコンセプトづくり、フリーズドライにすることでの効果や影響を学び、試作開発に関する一通りのことを体験できるので、新人研修の総仕上げ的な役割も担っています。

入社して時間が経つと、フリーズドライのむずかしさがわかってしまい、技術的にできるかどうかで判断してしまいます。 何も知らないからこそ生まれる自由な発想を大事にした活動だと思います。研修期間中に他の研修と同時並行で行うので、苦労しました。
理想の味を実現するために、試行錯誤を繰り返す
お二人が手掛けた新人提案商品について教えてください。

私が開発した「かつおだし香る梅干しスープ」は、40代~50代の女性をターゲットにしました。 イメージしたペルソナは私のいとこです。 いとこが40代前半で病気を患いまして、調べてみると40代はさまざまな病気の発生が増えてくる年代だということがわかりました。 それで、体調を崩された方にも優しい味わいで心も体も喜んで召し上がっていただけるような商品ができないか、というところから企画を考え始めました。 梅干しを選んだのは、子どもの頃の思い出がきっかけです。 風邪をひいたとき、母が焼き味噌と梅干しの味噌汁で看病してくれたことを思い出し、日本古来の健康食である梅干しがぴったりだと思いました。 また、日本には梅干しと鰹出汁からつくる伝統的な調味料「煎り酒」があります。 身体に優しい煎り酒のような味わいなら、体調を崩した方にもすっと飲んでいただけるのではないかと思い、開発を進めました。 一番のヒントにしたのは、母の味です。

私は「デミグラスハンバーグ」を開発しましたが、当時は入社したばかりで顧客モデルの設定などもよくわかっておらず…。 割とインスピレーションで進めた部分が大きいです。 ハンバーグを選んだのは、アスザックフーズの商品は入社前から調べていて、味噌汁やスープ、総菜やスナック菓子など商品ラインナップが幅広いですが、メインで肉類の総菜がなかったから。 開発部署での研修でも、酸化が早い肉類はフリーズドライに不向きであると聞いていましたから、他の人がやらないあえて難しいものにチャレンジしてみたいという気持ちもありました。 あと、個人的にアウトドアが好きだったので、外で食べることができて満足度の高いという点も決め手の一つです。
完成に向けて、どのように進めていったのですか?

通常はR&Dセンターに試作を依頼しますが、この研修でフリーズドライ前の味づくりから立ち会わせてもらうことができました。 早い段階で味の方向性が決まっていたので、イメージ通りの味に近づけるかがポイントでしたが、1g単位の細かい調整まで一緒におこなうことでスムーズに作業が進み、3回の試作で完成させることができました。 膨大な試作・製造実績の中から類似したスペックの商品情報を共有してもらうなど、R&Dセンター担当者の協力にも助けられました。

私は、設計当初から商品化をイメージしていたので、メーカーとして量産できる商品づくりを意識しました。 「フリーズドライで一定品質を保ちながら、手こねハンバーグのようなおいしく軟らかいハンバーグをつくる」 という高い目標を掲げ試作に取り組みますが、毎回おいしさ・復元性・品質のどれかに問題が発生してしまって。 完成までに10回以上は、試作したと思います。 業界的にもハンバーグのフリーズドライは初の試みだったため、似たような事例が見つからず、自分の考えが正しいのか判断が難しかったです。 当時は工場ラインの知識も乏しい新人でしたので、先輩方にたくさんアドバイスをもらいました。 また、アウトドアで使用するイメージをしていたので、タレがからんだハンバーグを包装容器の中で実現させたかったんです。 ですから、お皿いらずで食べることのできる自立型の包装形態にもかなりこだわりました。
完成したときの感想はいかがでしたか?

キャリア入社ということもあって、実務と研修の両立が大変でしたので、無事に販売までやり遂げられてよかったという安堵感がありました。 ECサイトでの販売に向けて、パッケージデザインや写真の検討など、他部署の助けを借りながらトータルに商品開発に関われたこともよい経験となりました。 初めて自分のアイデアで商品を立ち上げたので、非常に思い入れがあります。 家族も気に入ってくれ、特に母は定期的に購入してくれています。

ハンバーグのフリーズドライは業界初でしたので、発表したときは「本当に戻るんだ!」と驚いていただけました(笑)。 食べた人からは、「食べ応えがありすぎる!」といううれしい意見もいただき、やりがいと喜びを感じたのと同時に、 「ハンバーグができたのであれば、何か違うものもできるんじゃないか?」とさらに新しいものを開発したいという意欲が湧きました。
新人提案品の経験から気づいたこと、学んだこと
「新人提案品」を終えて、自分自身に何か変化はありましたか?

健康食材や伝統的な食品の機能的な効果は、科学の力で日々解明されています。 ただ、それを前面に押し出さなくても、「梅干しは体に良い」という共通認識から、素材の良さを生かして商品をつくれば、ユーザーに受け入れられるとわかりました。 面白さや驚きとともに、お客さまに安心感や優しさを与えられるような商品づくりをしていきたいという自分の思いを再認識できたように思います。

新人の入社一年目にして今までにない商品をつくれたのは、素晴らしい経験になりました。 同時に、自分が思っていた以上に、フリーズドライの可能性は広がっているというか。まだまだ技術的に開拓できる分野なのだと実感しました。
他の方の「新人提案品」ではどんなものがありましたか?

パンや麺類など、これまでできないとされていたものが提案されていて面白かったです。 商品化には至らなかったものの、「もう少し詰めていけばできるんじゃないか?」と可能性を感じさせる提案が多くありました。 新しい技術を使って新商品をつくるための発見がたくさん出てきている印象です。

新人提案品は商品化まで至らないこともありますが、自分のアイデアを追求できる面白さがあります。 実際の実務は制約の中で進めなければいけないことが多いのですが、純粋に自由な発想で楽しんで取り組めるのが新人提案品の魅力ではないでしょうか。 たとえ、完成しなくても、検証した技術から次に生かせるものが見つかったり、ヒントにつながったりすることもあると思いますね。
今後の目標について教えてください。

私の場合は身近な人をイメージして新人提案品をつくりましたが、自分の体験を通して企画した商品が社会課題の解決にもつながるかもしれないと気づくことができました。
今後はより広い視点で社会課題を捉え、お客様のお役に立てる商品、必要と感じていただける商品を開発し、新たなニーズに応えていきたいです。

現在はクライアントであるメーカーさまを主体とした技術営業をしています。 フリーズドライ技術とクライアントさまの素材や技術を組み合わせ、ユーザーに受け入れられる商品をつくることを目指しています。 私自身、新人提案品を通じて「フリーズドライは無限大」という確信を持てたので、その感動をメーカーさまにも感じてもらいたいと思っています。
未来の新入社員へひと言。

思い込みや先入観にとらわれず、自由な発想で取り組んでみてください。 枠にとらわれず、他の人と話し合うことで可能性が広がるはずです。

限られた期間内ですが、いろいろ考えて行動してみてください。 完成した商品を参考にするのではなく、いろんな店で食事をしたり、スーパーの売り場を眺めたり、食品に触れる機会を増やしてみてください。 新しい発想に結びつくヒントが見つかるはずです。