
食品残さを自社で肥料化し、食品廃棄量を15%削減
アスザックフーズでは、地球環境への負荷をできる限り軽減できるよう、さまざまな取り組みを進めています。そのひとつが、廃棄物の再資源化。乾燥食品の製造過程で出る野菜くずや、廃水処理で発生する汚泥を「AZF乾燥菌体肥料」へと生まれ変わらせ、廃棄物軽減につなげています。

K.S./品質保証センター マネージャー
食品残渣の肥料化プロジェクトを自ら立ち上げ、公的機関との折衝、製法の確立から「AZF乾燥菌体肥料」としての登録、完成品の周知・利用促進までマネジメント。
AZF乾燥菌体肥料とは
野菜くずと、食品製造に使った排水に含まれる有機物を微生物で分解させてできた汚泥を混ぜて乾燥させた肥料。
その内製化に成功し、2023年4月に「AZF乾燥菌体肥料」として長野県に登録しました。
有用な成分を多く含むため、畑などの土壌づくりに用いる元肥として近隣の契約農家さまにも提供。
この肥料を使って栽培された野菜を当社で加工し、その過程で生じた残さを肥料に生まれ変わらせるという循環サイクルを可能にしました。
乾燥食品をつくる過程で出た野菜くずや排水が肥料に
食品残さの肥料化プロジェクトは、どのように始まったのですか?
2021年のある日、偶然目にした記事で、普通肥料の公定規格が改正されたことを知ったのがきっかけです。
食品由来の汚泥をもとにした「乾燥菌体肥料」という新規格が設けられたというものでした。
そもそも我々のような食品メーカーは、製造過程で排出される食品残渣や汚泥の適切な処理が法律で義務化されています。
もちろん当社でも、廃棄物処理業者に依頼して引き取ってもらい肥料化するという取り組みは、以前から行っていました。
従来の法律では、汚泥は発酵させなければ肥料化できなかったので、専門の会社にお願いしていたのです。
しかし、法改正により乾燥させれば肥料として扱えるようになったことで、内製できるのではないかと考えました。
もともと廃棄する汚泥の乾燥は自社で行っており、設備も持っていましたから。
具体的にどのように進めていきましたか?
まずは情報収集から。長野県地域振興局の長野農業農村支援センターを訪問し、乾燥菌体肥料の条件、当社の汚泥がそれに該当するかなど、詳しくヒアリングしました。
肥料の条件として、植物の生育に必要な成分が数種類あり、中でも重要なのが窒素、リン酸、カリウムです。
窒素4%以上、リン酸またはカリウムを1%以上含んでいることが条件だと聞き、当社の品質保証センター分析チームに成分分析を依頼しました。
すると、窒素は約5%、リン酸とカリウムは20%近く含有していることがわかったんです。「これは、いける!」と期待を持ちました。
次のステップは、食害試験。肥料を使って実際に植物を育て、生育状況を判断する試験です。
そこで、汚泥を乾燥させ肥料化したものを公益財団法人日本肥糧検定協に提供。小松菜を栽培してもらったところ、肥料として有用であるだけでなく、標準より高い品質だという評価をいただきました。
とてもスムーズに事が運びましたね。
実は、そこからが大変でした。肥料は登録制で、都道府県の許可がなければ製造・使用できません。
長野県に肥料を提供して登録申請すると、成分が規定量に満たず不許可となってしまいました。県に提出したサンプルは乾燥が不十分で、成分が薄まってしまったようです。
水分値の管理が肥料づくりの重要ポイント。そう考え、自社工場での検証を始めました。
乾燥機に投入する汚泥の量、乾燥時間など条件を変えながら検証していくと、肥料の水分を40%以下にできれば窒素の基準値を保てるとわかってきました。
そこで何度も調整を繰り返し導き出した最適解が、「乾燥6時間」という基準です。そして再度登録申請をおこない、2023年4月に肥料として認定されました。
肥料→野菜→製品→肥料の好循環をもっと広げたい
完成した「AZF乾燥菌体肥料」は、どのように活用していますか?
現在、当社の契約農家さん、直営店舗を通して知ってくださったお客さま、アスザックグループの社員に無料で提供しているほか、国内の自社農場でもテスト的に使っています。
まずはチラシをつくって社内の栽培チームと一緒に契約農家さんを回ったり、アスザックグループの社内報で取り上げてもらったりして、周知に努めました。
社員には家庭菜園の愛好家が多く、大変好評です。トマト、きゅうり、ナス、ズッキーニ、ピーマン、とうもろこしなど多くの野菜で今までになく質の良いものがたっぷり収穫できたと、喜びの声を写真付きで寄せてくれた人もいました。AZF乾燥菌体肥料は、植え付け前の土づくりに用いる元肥として使えます。
4月に県の認定を受けて契約農家さんにもご紹介したので、6月頃から始まる土づくりのタイミングにマッチしたのもよかったですね。
今、使っていただいている3軒の契約農家さんからも評判はいいですよ。当社の商品の製造過程で出た野菜くずなどが主原料ですから、安心感もあるのではないでしょうか。
今後、この取り組みをどのように広げていきたいですか?
今は、当社まで取りに来ていただける近隣の方にしかお配りできていません。
包装の設備も資材もなく私がスコップで袋詰めしている状況ですし、配送コストの課題もあります。今後は、もっと広く多くの方にお届けできるよう、商品化を目指したいです。
また、契約農家さんがこの肥料を使って栽培した野菜を当社が原料として購入、商品の製造過程で出た食品残渣から肥料をつくり農家さんに提供する、という好循環のサイクルもつくれたので、これを拡大・継続していくことを目指します。ここまで自己完結している食品メーカーは珍しいかもしれませんが、企業として担うべき社会的責任の一つだと考えています。
実際、2023年に排出した汚泥の一部を農家さんなどへ肥料として提供し、汚泥の廃棄量を15%削減することができました。
AZF乾燥菌体肥料を通して、循環型社会の構築と廃棄物削減に貢献していきたいですね。
環境負荷軽減に向け、企業としてめざすのはどんなことでしょうか。
買った原料は全部使いきる、使いきれなかったものは再利用を推進する。
これを徹底し、メーカーとしての「つくる責任」と「使う責任」を果たしていきます。また温室効果ガスの削減に向け、電力使用量や化石燃料使用量の見直しも課題ですね。
当社では、建築廃材を燃料とするバイオマスボイラーを積極的に活用してきましたが、さらに稼働率を上げていく予定です。
こうした取り組みやその重要性を社内でもっとアピールし、社員一人一人の意識を高めていくのも、これからの私の役割だと思っています。